業務の属人化で仕事が引継げない! 52.8%が「困っている」
企業で人材不足のなか、「業務の属人化」が大きな課題になっている。業務の属人化によって組織が硬直化したり、業務の効率化が進まなかったりと、よくない影響が出ているからだ。
業務の属人化が解消して効率化が図れれば、時間やコストを削減でき、企業の利益へと繋がる。そこで、日本トレンドリサーチを運営するNEXERが定型業務をプロセスとしてマネジメントするツール「オクトパス」と共同で、「業務可視化ツールを使用して業務を行った経験」について調査した。2024年2月20日の発表。
「業務の見える化」満足度は二分に…
業務を効率よく進めるうえで、「業務の属人化」は小さくない課題になっている。
調査では、「『業務の属人化』について、あなたの会社ではどのような影響があるか、当てはまるものをすべて選んでください」(n=142、複数回答可)と聞いたところ、52.8%の人が「業務の引継ぎが困難である」と答えた。
次いで、「手順やプロセスが文書化されていない」が47.9%、「キーパーソンの不在が業務に深刻な影響を及ぼす」が44.4%と続いた。これらも決して少ない数字ではなかった。【図1参照】
また、「現在の『業務の見える化』を行っている方法に満足していますか?」(n=142)との問いには、「満足している」と答えた人が50.7%(「非常に満足している」9.9%と「どちらかというと満足している」40.8%の合計)。「満足していない」が51.5%(「どちらかというと満足していない」34.5%と「まったく満足していない」8.5%の合計)と、ほぼ半数に分かれる結果となった。【図2参照】
さらに、現在の「業務の見える化」を行っている方法に「非常に満足している」と答えた人に、その理由を聞くと、
「業務効率が上がったから」(40代男性)
「誰でも同じクオリティで仕事がこなせるから」(50代男性)
「引き継ぎがスムーズに行えるようになったから」(20代女性)
と答えた。
「どちらかというと満足している」と答えた人の理由は、
「効率化に繋がったから」(40代男性)
「引継ぎや突発的な事態に対応しやすい」(50代男性)
「履歴が残り、責任が明確になるから」(50代男性)
「ブラックボックスが少し開いた」(60代男性)
「過去を見返すことが容易」(60代男性)
としている。
一方、「どちらかというと満足していない」と答えた人の理由をみると、
「人とのコミュニケーションを介して行っているから」(40代女性)
「非効率的な部分があるから」(30代男性)
「担当者不在の時にわかる人がいなくて困ることが多い」(50代男性)
「全員が操作法などを共有できていないから」(60代男性)
といった声が。
「まったく満足していない」と答えた人は、
「見える化が目的となってしまうことがある」(40代男性)
「まだまだ開発段階だから」(30代男性)
と、理由をあげた。
業務の遅延、データのミスが増えたら… 業務フローの改善必要
調査によると、「どのような状況を見た際に業務フロー改善が必要と感じるか、当てはまるものを選んでください」(n=142)との問いに、37.3%の人が「業務の遅延が頻繁に起こる際に、業務フロー改善が必要と感じる」と答えて、最多。「データや情報のミスが増加」と答えた人も35.9%で、わずかの差で続いた。【図3参照】
「業務の遅延が頻繁に起こる際に業務フロー改善が必要と感じる」と答えた人に、その理由を聞くと、
「業務遂行に必要な人員・資源の配分が適切に行われていないことによる作業の遅延がたまに起こるので」(30代男性)
「仕事の一連の流れの中でミスがあれば最も影響が出る部分だからです」(50代男性)
「業務の遅滞により必要以上の作業時間が多くなってしまうから」(60代男性)
「迅速さと正確さは信頼だと感じるから」(40代女性)
「非効率なことをそのままにしておくと、それが連鎖していき、最終的に顧客にまで影響したり、ムダに残業したりしてしまうから」(30代男性)
などと答えた。
また、「データや情報のミスが増加」と答えた人の理由は、
「ミスの処理のために、二度手間になり時間がムダになるから」(60代女性)
「伝えたつもり、伝わったつもりのまま物事が進むことがたまにある」(30代男性)
「人為的ミスを防げるため」(40代男性)
「手書きがまだ多いから」(30代男性)
「データの不備により手戻りが生じる可能性があるため」(40代男性)
といった声があった。
さらに、「従業員からの不満が増加」と答えた人の理由をみると、
「仕事環境を変えないといけないと思うので」(50代男性)
「業務量の差があるのに、なぜか業務量が少ないほうが残業が多いという実態があるため」(40代男性)
との回答があった。
業務フロー改善の優先順位 「影響の大きさに基づいて」を設定
「『業務の見える化』と『属人化の解消』によって得られることを期待する成果として、当てはまるものをすべて選んでください」(n=142、複数回答可)との問いには、73.2%の人が「業務の効率化・高速化」を期待していることがわかった。次いで、「リスクの軽減・回避」が44.4%、「透明性の向上」が40.1%と続いた。【図4参照】
また、「社内で業務フロー改善の優先順位を、どの基準で設定していますか」(n=142)との問いには43.7%と、半数近くの人が「影響の大きさに基づいて、業務フロー改善の優先順位を設定している」と答えていることがわかった。
次いで、「緊急度に基づいて」の24.6%、「利益向上に寄与する度合いに基づいて」の19.0%が続いた。【図5参照】
「影響の大きさに基づいて」と答えた人に、その理由を聞いたところ、
「影響の大小で利益率が変動すると考えます」(40代女性)
「優先順位をつけて必要なものから対応していく」(50代男性)
「最も課題を生じている業務から優先度を上げて対策をしたほうが早く結果が出やすいと思うから」(60代男性)
「人手に限りがあるので業務に影響の大きいものから手をつけている」(30代女性)
「影響度の高いものから手を付けるほうが効率的と考えるため」(40代男性)
と答えた。
次に、「緊急度に基づいて」と答えた人に理由を聞くと、
「直ちに改善しなければならないフローから、手をつけていく必要があるから」(20代女性)
「緊急に対応すべきことが優先されるべきだと思うから」(20代男性)
「緊急性を判断して、被害を最小限にとどめる必要があるから」(60代男性)
としている。
「利益向上に寄与する度合いに基づいて」と答えた人の理由は、
「業績への影響が大きいから」(50代男性)
「利益が重要だから」(20代・男性)
などと回答した。
調査によると、業務可視化ツールを導入することで、業務の効率化や高速化のほか、リスクの軽減やコミュニケーションの改善にも繋がるという。
なお、調査は事前に「業務可視化ツールを使用して業務を行った経験がある」と答えた全国の男女を対象に、2024年1月24日~29日にインターネットで実施。有効回答数は142人。