AI技術がつくり出す近未来! 「Dynabook Days 2024」をレポート
世界初のノートパソコン「Dynabook」が発売されて35年。“進化”を続けるDynabookの春モデル「Dynabook R9」の発売を、Dynabook株式会社が2024年2月14日に発表した。
AIが多くの業務にかかわり、質の高いアウトプットを実現するなどAIがより身近になり、業務の生産性や作業効率の向上、さらには仕事や生活スタイルの変革をもたらすようになってきた。
そんなAIの一端を担い、快適な操作性を追求して身近なデバイスを、Dynabook社は「AI PC」と位置付けた。その先駆けとなる商品が、AI専用エンジンを内臓した高性能のモバイルノートPC「Dynabook R9」だ。
同日、東京・江東区有明の東京ファッションタウン(TFT)ビルで開かれた「Dynabook Days 2024 AIで未来を切り拓く新たなイノベーションのご提案 ~ Dynabook最新PCとAI活用ソリューション セミナー&展示会 ~」のもようを、プロイノベーション代表取締役社長の久原健司がレポートする。
「ノートPCがAI技術でさらにパーソナライズされる」
「Dynabook Days 2024」は、今後のビジネスシーンにおけるAI活用術がテーマ。プロイノベーションの久原健司社長が登壇したスペシャルセミナーと、Dynabook社のPCやさまざまなビジネスソリューションの展示や説明と、「生成AIは企業の新規事業戦略をどう変えるか?」や「最新CPU 『インテル®Core™Ultra』で実現するAI PC」などのセミナーを用意して、ビジネス課題の具現化と解決方法、AIの活用についての情報を、2月14日、15日の2日間にわたり提供した。
その中で、Dynabook株式会社は、2月14日、開催しているイベント「dynabook Days 2024」にあわせて、新製品「dynabook R9/X」を発表した。
この製品は、CPUに最新のインテル®Core™Ultra 7 155Hを搭載。高性能と省力化の両立を実現したほか、AI専用エンジン「AI BOOST」(NEURAL PROCESSING UNIT=通称NPU。GRAPHIS ICS Pro CES SINGUI UNIT=通称GUGPU)を内蔵。AI処理ではDynabook独自の技術「エンパワーテクノロジー」によって、その高性能を安定して維持させるほか、生成AIを活用したCOPOILOT Windowsと連携する機能が呼び出せるCOPI、LOTキーを新たに搭載。AIの活用を加速させる。
14.0型液晶の薄型軽量約1.05キログラムのボディでありながら、総合力の高さで必要な時に必要な場所でAIが活用できるハイパフォーマンスを実現したモバイルノートだ。4月下旬の発売を予定しており、実売予想価格は29万円台半ばを見込んでいる。
発表会では、Dynabook社の国内PC事業本部 国内マーケティング本部の杉野文則本部長が登壇。dynabook R9/Xの開発背景や仕様などを紹介した。
杉野本部長は、生成AIの活用に伴う、データ量や消費電力の増大、通信速度やセキュリティ面の懸念といった課題に対して、「AI PCが一つの解決策となる」というDynabook社の見解とともに、AI PCの開発に注力していく方針を示した。
ノートPCがAI技術により、さらにパーソナライズされて優れたアシスタントになるとの将来的なビジョンも語り、「Dynabook R9/Xはこの未来像に向けた第一歩となるAI PCとして開発された」と述べた。
Dynabookは、ノートPCの歴史そのものだと言っていい。1985年に世界初のラップトップPC「T1100」を発売したのに続き、1989年に発売した初代「DynaBook J-3100 SS001」は、A4サイズで2.7キログラムという軽量化を実現して世界中を驚かせた。その後も世界初や世界一となるPCを続々と投入し、世界のノートPC市場をけん引してきた。
Dynabookの歩みは「挑戦の歴史」といえそうだ。Dynabookには常に挑戦する姿勢があり、「世界初や世界一となるPCを、市場に投入することにこだわってきた」。そして、Dynabookのモノづくりにこだわる姿勢は、現行モデルにも息づいているのだ。
AIが日常生活や仕事をサポートする近未来
「Dynabook Days 2024」は、Dynabook R9/Xの実機展示のほか、Dynabook社が提案するXRソリューションとして、開発中のAI機能搭載「XRグラス」や、NVIDIA HGX H100を搭載したAIサーバーなどが披露された。
開発中のXRグラスは、アイウェアの専門知識を取り入れたメガネのようなデザインで、屋外でも利用できるようにしている。
そんなAIが日常生活や仕事をサポート。日常的に着用できるXRグラスを活用した生活の一例が、「会話の可視化」や「オフィス空間の拡張」、「資料の要約」の技術だ。会場の「XRグラス」のデモでは、久原健司がこれを体験してみた。
例えば、会話の可視化では、AIによって会話内容の字幕表示機能やXRグラスを通した仮想ディスプレイなどが体験できた。AIが会話の内容をテキストに変換して、聞き取りをアシストすることで、聞こえが心配な人も安心して会話を楽しむことができるようになるという。
また、オフィス空間の拡張では擬似モードモニターを空間上に展開して、使えるようにするという。周囲に人がいても表示を見られる心配はなく、AIで内容を読み取り、簡潔に要約してもらうことで、忙しい時も重要な情報をさっと確認できるようになる。資料の要約もAIがやってくれるようになるそうだ。
また、Dynabook社のテレマティクスサービスなら、業務用車両の課題をトータルにサポートしてくれるという。例えば、法令義務化されたアルコールチェックの管理に対応してくれるほか、免許証によるドライバー認証、安全運転をサポートする豊富なアラート機能が搭載されている。よそ見運転や居眠り運転などをしようものなら、警告のアラートが車内に響くという。
「車両運行管理ポータル」で、運転状況の見える化を実現。これは管理職にはうれしい機能。こうした機能で、社用車のドライバーが自身の運転について振り返る機会を与える。そのことが事故防止につながっていくのだろう。【上の写真参照】
さまざまな業務がAI技術の進展で、どんどん効率化されて便利になっていく。(久原健司)