人手不足で高まる「警備ロボット」へのニーズ 市場規模は2028年に30億円超!
物流業界などで、深刻な人材不足や働き方改革による「2024年問題」が大きな話題になっているが、人材難は警備業界も事態は同じだ。
そんな警備会社で今、期待されているのが「警備ロボット市場」。日本能率協会総合研究所(東京都港区)マーケティング・データ・バンクが、MDB Digital Searchの「MDB有望市場予測レポート」シリーズで、警備ロボットの国内市場を調査したところ、2028年度の警備ロボットの国内市場の規模は、推計で30億円超にのぼる見込みであることがわかった。
“進化”する警備ロボット 人では検知できないものを検知できる
警備ロボットは、事故や物品の破壊、盗難などのトラブルに備え、施設の警備に利用されるロボットをいう。マイクやカメラ、赤外線センサー、超音波センサー、LiDAR(Light Detection And Ranging=光による検知と距離や対象物の形を計測する技術)などのさまざまなセンサーを搭載。不審な人やモノ、異常音にガスや火災の検知などを可能とする。
警告を発したり、カラーボールを投げたり、危険物の処理といった機能やタッチパネルや音声による受付・施設を案内する機能を持つ“ロボット”もある。
警備ロボットは24時間365日の稼働が可能で、暗視カメラやサーモセンサー、ガスセンサーなどにより、人間による警備では検知できないものも検知できるほか、危険な場所や過酷な場所での警備や、監視カメラの死角も確認できるなどの利点があり、警備での有効活用が期待されている。
その一方で、状況に応じた臨機応変な判断が難しい、不審者の確保まではできないなどの課題もあるため、現状では警備員の業務のすべてを代替するのではなく、一部の業務を警備ロボットが担い、警備員との協働での運用が中心となっている。 従来は、警備ロボットが撮影した映像を警備員が常時監視する必要があったが、近年の機種ではAI(人工知能)や画像処理技術の活用で、ロボットだけで対応できる業務が増えている。課題だったフロア間の移動も、ロボットとエレベーターとのシステム連携などによってロボットだけで複数のフロアを移動できるようにするなど、ロボットが動作しやすい環境を構築する取り組みが進められているという。
導入実績の増加で“様子見”の企業が導入へ
現状、警備ロボットの導入実績は実証実験レベルのものが多く、資本力がある企業での導入が中心となっているが、少数のロボットで試験運用を行い、効果が認められれば追加での導入が見込まれるほか、導入実績が増えることで、これまで様子見していた企業への導入も進んでいくとみられる。
また、警備業界では人手不足が続いており、今後さらに深刻化することが懸念されている。人手不足への対応のため、警備ロボットに対するニーズが高まっていることや、警備ロボットの機器の性能向上や導入施設側のロボット対応と連携などによって、警備ロボットの実用性が向上。警備ロボットの市場規模は拡大が見込まれる=上のグラフ参照。
なお、調査では国内の警備ロボットの製品販売額、レンタル費用、オプション費用、サービス提供金額を対象に、市場規模を算出した。