AIがこれからのビジネスに必要な理由ChatGPTの仕組みと得意なこと

2023.11.02
ChatGPTの仕組みと得意なこと

これからのビジネス(経営)にAIは必要です。なぜ必要なのかについてお話ししていきます。前回は、AIの歴史を紹介しました。今回は、チャットGPT の仕組み、得意なことや不得意なことについて解説します。


ChatGPTの仕組み

生成AIのうち、ChatGPTについて詳しく解説していきます。ChatGPTは、大量のネット上のいろいろなテキストを学習します。たとえば、「明日は雨が……」と、私が止めた際、皆さんの頭で私は次何を言うか、きっと「降る」と言うんだなと予想がつくでしょう。ChatGPTは、その予想がかなり上手にできて、次に来る確率の高い言葉を出すことができるのです。そのため自然な会話でいろいろな話題ができるんですね。インターネットで学習して、次に来る確率の高い言葉を選択できるということを、まず覚えてください。

ChatGPTは結構世の中をにぎわしていますが、なぜそんなにChatGPTが注目されているのでしょうか?

まず、ChatGPT 2 カ月でユーザー数1億人を突破しました。これは、ものすごく早いです。 Facebookの場合、54 カ月、Twitterだと49カ月、InstagramやLINEやtiktokと比較しても、非常に早いスピードといえます。

そして、ChatGPTで何がすごいのかというと、MBAで最終試験に合格するというのです。アメリカの医師の国家試験や司法試験にも合格する。日本でも医師国家試験に合格するという、ものすごい能力が高い天才ですね。世界のことを何でも知っている神の領域のような頭脳というイメージを世の中の人が持っているので、ぜひ使ってみようとユーザーがどんどん増えていったわけです。

では、ChatGPTはどのように勉強するのでしょうか? まずディープラーニング(機械学習)の一種であるトランスフォーマーモデルで多数のパラメーターを含むニューラルネットワークを学習しています。

トランスフォーマーモデルのポイントは「パラメーター」と言われるものです。左側から入ってきたデータに対して、人間の脳の状態に似た形のニューラルネットワークで学習して、文章を把握していくのが面白いところなのです。ニューラルネットワークという線が複雑になって、階層がどんどん深くなってパラメータの数がものすごく大きくなると、ChatGPTは頭が良くなっていきます。

必ずしもパラメータの数と比例して頭が良くなるわけではないのですが、パラメータの数がChatGPTソフトの時は1億1,700万、そこから2に上がると 15億、3に上がると急に増えて1,750億個。どんどん 増えてChatGPT4になると、非公開になってしまいました。相当な数のパラメータが増えて、人間の脳に近いような状態になっています。


ChatGPTの得意なこと

ここからChatGPTの得意なことをお話しします。よく言われるのは、質疑応答のような会話です。「なぜ空は青いんですか?」と質問すると、ChatGPTは答えてくれます。文章を作るのもうまいので、「お礼のメールを作成して」と言えば作ってくれますし、要約もうまいから、「この文章を要約しておいて」と言えば要約を作ってくれるのです。意味の解析、「もっとわかりやすく説明して」とか、文章の校正、「間違っているところがあったら訂正して」といったことも得意です。

実際に「なぜ空は青いの?」と聞くと、こんなような回答が出てきます。

「空が青く見える理由は、大気中の光の散乱現象、特にレイリー散乱と呼ばれる現象によるものです」

レイリー散乱がわかる方はいいですが、ちょっとわかりづらい言葉がどんどん出てきていると思います。さらに、「中学生でもわかるように教えて」と問い合わせをすると、先ほどの説明がわかりやすく かなりフランクな情報になります。ちょっと柔らかくなりました。

(ChatGPTの回答)
空が青く見える理由をもっと簡単に説明すると、こんな感じですよ。
太陽から届く光は、実はたくさんの色が混ざっていて、それが全部合わさると「白」に見えます。でも、その光が地球の大気に当たると、色ごとにバラバラの方向に跳ね返されるんです。これを「散乱」と言います。
その中でも、青色や紫色の光は波長(光が一定のリズムで揺れる長さ)が短いため、他の色よりも大気中でよく跳ね返されます。その結果、青色や紫色の光があちこちに散乱して、私たちが 見る空全体が青く見えるわけです。
でも、なぜ紫色ではなく青色に見えるかというとそれは人間の目が 青色の光を紫色の光よりも より感じやすいからなのです。だから結果的に空は青く見えるのです。


ChatGPTの不得意なこと

ただし、ChatGPTには不得意なこともあります。ChatGPTは2021年 9月までの勉強しかしてないので、その後の情報はわかっていません。

一方、過去のことなら何でも知っていると思うかもしれませんが、実はわからないこともあります。「2018年2月8日東京の天気は?」と言ってもわからない。数学の計算も、簡単な1+1は2とかはわかるのですが、ちょっと複雑な問題は間違えてしまいます。それから、情報が必ずしも正確ではないことがあります。ChatGPTの回答を鵜呑みにすると後で恥をかく可能性もあるのです。

ChatGPTが全く違うことを答える可能性があると考えると、急にChatGPTは使えるものなのか不安になってくるかと思います。

でも、そもそもChatGPTは会話を楽しむためのものなので、検索で使うのはあまり良くないといえます。検索で使うなら、Microsoftのエッジの中に入っているBingが一般的です。これはWEBを検索した結果を出しているので、「明石家さんまさんについて教えてください」と聞くと、日本のお笑いタレントで、杉本高文さんですよ、と答えてくれます。さらに、この内容に対して、情報を取ってきたサイトのリンクを表示してくれています。

Bingもいいのですが、私が個人的に検索でおすすめするのは「Perplexity(パープレキシティ)」という検索AIです。

やっていることはBingと同じですが、調べた情報の中で、例えば一般人の誰かよくわからない人が書いたブログに書いてあったと言われても、その情報がそもそも信頼性ある情報かどうか気になりますよね。このPerplexityは、検索する範囲を例えば論文や信憑性のあるサイトだけに限定することができるのです。したがって、信頼できる確実な情報を調べたいときは、Perplexityがおすすめです。


画像と音楽の生成AI

テキスト以外の画像や音楽の生成AIについても少し紹介します。

画像の生成AI 、Stable Diffusionを使うと、女性や男性、猫などの画像も写真のようなものが1分くらいで作れます。SNSなどでは、おそらくStable Diffusionのような生成AIで作ったのだろうと思われるアイコンが、最近はよく出てくるので、こういったアイコンを使っているアカウントは情報が怪しい場合が結構あるので、皆さん気をつけてください。

音楽の生成AIはMusicGen(ミュージックジェン)ですが、これは指示を英語で入れる必要があります。

「80年代のエレクトロニック・ポップとロックの融合であり、独自の世界観と、洗練されたポップ感と、先進的なシンセサイザー」と英語で入れてみます。

元になる音源はCDでも何でもいいのですが、著作権の関係上問題ない鼻歌を録音して、ジェネレートボタン(生成ボタン)を押すと、音楽が生成されます。もともとが鼻歌だとは思えないぐらい素晴らしい音楽が生成されるのです。本当に簡単で数分でできてしまうので、ちょっと遊んでみるとAIのすごさを肌で感じられるのではないでしょうか。

以上、ChatGPTの仕組みや得意なこと・不得意なことを紹介しましたが、ChatGPTに興味が湧いてきましたか? 特徴を理解しながら、まずは気軽に触れてみることをお勧めします。

久原健司

久原健司

日本一背の高いITジャーナリスト/株式会社プロイノベーション代表取締役 IT企業を経営する傍ら、“日本一背の高いITジャーナリスト”として様々なwebメディアでの執筆や母校の東海大学で特別講師として、定期的に授業も行っている。 ITに関する講演を得意としており、受講者のITリテラシーに合わせて話す内容を変えることができ、企業に寄り添った講演が人気。