AIがこれからのビジネスに必要な理由AIを活用するメリット・デメリット
これからのビジネス(経営)にAIは必要です。なぜ必要なのかについてお話ししていきます。前回は、チャットGPT の仕組み、得意なことや不得意なことを解説しました。今回は、AIがどれくらいビジネスシーンに浸透しているかという調査結果を紹介した上で、AIを活用するメリットとデメリットについてお話します。
AIはどのくらい浸透しているか
まず、生成AIの「ビジネス利用の現状と今後」についての調査を紹介します。2023年5月に野村総合研究所(NRI)が、日本のビジネスパーソン20歳〜69歳、2,421人を対象としてインターネットアンケートを行いました。20代30代40代50代60代、それぞれの男女で約250人ずつデータを取っています。
まず生成AIの認知率、AIを知っていますかという問いに対して49.5%が知らないと回答しています。半分ぐらいのビジネスパーソンが、まだ生成AIを知らないのです。
男性と女性を比べてみると、男性の方が若干知っている人が多い。年齢層で見てみると、20代30代40代50代60代であまり差がない女性の中でも、60代が結構知っている。これはニュースやメディアで取り上げられているということもあると思いますが、本当に年齢を問わず、生成AIとかChatGPTに対して皆さん興味があるということがわかります。
なぜそんなに興味があるのでしょうか? AIのイメージで圧倒的にトップにくるのが「業務効率・生産性を高める」です。そのほか、ポジティブな情報だと「暮らしを豊かにする」とか「新しい仕事が創出される」「よりよい社会を作る」といったことが挙げられます。
一方でネガティブな意見もあります。1つ目が「人間の仕事を奪ってしまう」。よくあるAIのイメージですね。確かに単純作業や簡単な仕事は奪われてしまうでしょう。AIがやるべきになると思います。ただ、今は少子高齢化で人が足りない状況ですので、簡単な仕事はAIにやっていただいた方がいいのではないでしょうか。 よくわからないものは怖かったり不安になったりするわけですが、第1回でお話ししたように、AIは質の良い計算機だと考えれば、何も怖くないです。とても便利なツールなのです。そういった形でAIと付き合っていただくと、一番めの業務効率化や生産性を上げる面でかなりいい結果が出るのではないでしょうか。
生成AIの職場における導入・検討状況
生成AIの職場における導入・検討状況は、全体の20%ぐらいが使用中かトライアル中、または使用を検討中です。IT業界は30%を超えて34.2%。まだ業界による差はあまりありませんが、来年くらいには差が出てくるかもしれません。
では、その生成AIを、どの分野に対して使えばいいのでしょうか? 皆さんが可能性を感じているのは、主にテキストとメール、つまりChatGPTの領域です。画像はStable Diffusionの領域で、音楽や動画はMusicGenなどの領域になります。動画制作や画像制作の会社にとっては、Stable DiffusionやMusicGenが驚異的な存在になったり、あるいは、ものすごく手助けになるツールとなったりするわけです。
ほとんどの企業は画像や動画よりは、テキストやメールでAIを利用していたり、今後の活用を考えています。ですから最初にChatGPTを使うことを考えるのであれば、挨拶文などの原稿作成、記事やシナリオの作成、ドキュメントの要約、マニュアルの作成、議事録の作成といったものを代わりにやってもらうと考えてもいいのではないかと思います。
AIを活用するメリットとデメリット
それでは、AIを活用するメリットとデメリットを整理しましょう。
<AI活用のメリット>
1. コスト削減
AIは眠らないので、人間が休む時間でも働けます。これにより、給料を払う必要がなくなり、会社のお金を節約できます。
2. 正確さ
AIは人間と違って疲れたり、集中力を失ったりしません。だから、ミスをすることがほとんどありません。それにより、より正確な仕事ができます。
3. データ分析
AIはとてもたくさんの情報を一度に見ることができます。人間が一生かかっても見られないような量のデータでも、重要な情報を見つけ出して教えてくれます。
4. 個別対応
AIは、それぞれの人が何が好きで、何に興味があるかを学習できます。それにより、その人にピッタリの情報やサービスを提供できます。
<AI活用のデメリット>
1. 仕事の損失
AIはルールに基づきミスなく高速に作業をこなす能力のため、単純で反復性の高い仕事がAIに取って代わられる可能性があります。
2. セキュリティ
AIは大量のデータを扱うため、その管理が不適切だと情報漏洩のリスクが生じ、またAIシステム自体がサイバー攻撃のターゲットになる可能性があるのです。
3. 不透明性
AIは複雑な計算と学習を行って決定を出すため、その過程が人間にとって理解しにくく、「ブラックボックス」とも言われています。
4. 倫理的な問題
AIは人間の感情や道徳を理解する能力を持っていないため、人間の代わりに重要な決定を行うとき、倫理的に問題が生じる可能性があります。
AIを活用する際には、以上のようなメリット・デメリットを把握した上で、ビジネスの適切な業務、場面に導入していく必要があります。次回は、AIを活用したビジネスについて具体的に紹介します。